SS Vol5 シチュエーション 「ツンデレになんでお前ってそんなに可愛いの?と言ったら」 「タカシー!早くしろよ!!遅れるだろ!?」 玄関先から、騒ぎ立てる勝美の声が聞こえてくる。 「わかった、分かったって!」 その声に荒っぽく返事を返し、持ち物を確認する。筆箱、ケータイ、課題のプリント・・・、よし。 「おーい!先に行くぞ!」 「ちょっと待ってろっての・・・!」 どたどたと転がるように階段を降りて、外に出ると、勝美が不機嫌そうな顔で立っていた。 「遅い!」 「遅くないわっ!・・・ったく、遅いって今何時だよ?」 「7時40分」 悪びれもなくそう言う勝美。 ちなみに、学校までは徒歩15分程度です。 「・・・・・・」 じとー、とした視線で勝美を見る。 「・・・なんだよ?」 「なんだよ、じゃないっての。勝美、早すぎ。そんなに早く学校に行ってどうするつもりだ?」 「どうだっていいだろ?別にタカシが気にする事じゃねえよ」 ぷい、と背中を向け、先に歩いていってしまう勝美。 慌てて追いかける。 「大体、昨日の朝、『お前なんかとは二度と一緒に登校なんかしねえ!!』って教室で騒いでただろう?」 昨日は、たまたま登校のピークの時間帯に登校して、クラスメイトの連中にちやほやされてしまった。 「ぐっ・・・」 「まさか、みんなに見られないように朝早く来たんじゃないだろうな?」 「ば、ばか!んなこと・・・あるかよ!」 顔をまっかに染めて顔をそらす勝美。それが肯定を表していた。 「勝美」 そう呼んで、さり気なく勝美の手を握る。 「ななな、なんだよ!?」 勝美がこちらを振り向く。 その動揺に潤んだ瞳を見つめて、俺は言った。 「なんで、お前ってそんなに可愛いの?」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 勝美は、少しの間きょとんとした顔をしていたが、その更に数秒後には、ボン、という音さえ聞こえてきそうな勢いで赤くなった。 「ば、ば、バカヤロー!なななな、何言ってんだよ!!べ、別にな、俺はタカシにそんな事言われたって、うれしくなんかねーよ!」 俺の手を振り払い、耳まで真っ赤に染めて一気にまくし立てる勝美。 もう可愛くて可愛くて仕方が無い。 夜だったら、即持ち帰りだな。 「・・・・・・」 「・・・・・・」 「・・・・・・」 再び、そっと勝美の手を握る。 そして、勝美が顔を自然に上げた頃、俺は言った。 「勝美・・・好きだよ」 筆者感想: 最後キザっ!